「よし、この調子で続ければ安泰だ。もう少しやれば上手くいきそうだ。このままやっていても見込みがない。何かやり方を変えるのか。他の会社と一緒に出来ないか。資金も少なくなってきたので外部の資金を頼るか。一年半は決断の時でもあります。」

・この時期、事業が軌道に乗り、月次で黒字化が定着している場合であれば、このままの調子で進めるか、少し、商品、サービスの内容を見直したり、業務の進め方を見直して、会社の体質を強化するといった積極的な見直しを行えばよいわけですから、大きな問題はありません。

しかし、スモールビジネスを立ち上げるという事は、そんな簡単なものではありません。売上げが立たず、黒字化には程遠い、ある程度の売上げは立ち始めたが、収支トントン、黒字化には時間がかかりそうだ、という方が、圧倒的に多いという現実があります。その様な場合は、この時期は大きな決断を迫られる時期でもあります。
資金面に余裕がある場合は別として、社長の下さなければならない決断の選択肢は自ずと限られて来ます。

・まずは、継続するか、中止するか、という大きな分かれ道の選択です。資金に余裕がある場合は、しばらく継続して様子を見るという事も考えられますが、余裕がない場合、一度退却するというのも立派な決断です。
また、継続を考えた時でも、ここまでやって来て全く手ごたえが感じられない。
継続するにしても、現状維持だけで、現状を打破する改善策が思い付かないという場合は、苦しい判断となりますが、やはり事業中止を考えなければなりません。

継続する場合には、まず家族へ事業の現状や展望に関して説明を行い理解を得る事も重要な事です。これまで奥さん、旦那さんとよい夫婦関係を維持してきたとしても、理解が得られないで前に進めば、長年の関係を壊してしまうリスクがあるからです。家族の理解と支持があり事業を進めるのと、それがない場合では、ただでさえ、プレッシャーのある仕事が、一層、大きな心労を伴うようになるのは明らかです。

・方向転換という選択肢もありますが、これはこれまでやってきた、会社の様々なリソースがそちらでも生かせるといった場合です。前にゴルフクラブの製作と釣竿の話を紹介しましたが、大きな投資を行う必要がなく方向転換が可能であるならば、それも検討に値します。

但し、方向転換を実行する事で、これまでのリソースが大きく生かせない、比較的まとまったお金の投資が必要だという場合は、スモールビジネスでは、新しい会社を作るのと同じ事になります。あなたが一からやり直さなくて済むのは、会社の設立手続きや会計の部分だけとなります。従って、大きな方向転換を行う場合は、市場調査や事業計画など、現在の事業を始める段階で行った様々な準備を作り直さなければなりません。

・類似の事業が多数存在し、その規模も似たり寄ったりの場合は、合併なども一つの方法です。すごく大まかな効果を説明すれば、売上げは両社の合計である2社分と大きくなりますが、間接費と呼ばれる会計費用や家賃、様々なリース費用、アルバイトの人件費等は1社分で済みますので、利益が出やすい体質に変わる事が出来ます。これは上場している大企業でも、経済環境が厳しくなったり、新興国の同業が安い人権費を武器に安値攻勢をかけている等と言った場合に、合併する事と同じです。

但し、両社には、それぞれ社長や取締役などが存在しますので、「マイペースで自分のやりたいようにやる」というあなたの起業時の志が実現出来なくなる可能性も大きくなります。これまでは無縁であった、先方の社長との会社の進め方に対する話し合いや社内調整など、起業家のあまり好きでない事、苦手な事にもエネルギーを使う必要が出てきます。この合併は、お見合いと同じです。うまくやって行けそうな相手を見つける事が成功のポイントになるのは、言うまでもありません。

・会社の継続を断念する、中止するといった場合でも、それを実行する前に考えられる選択肢に〝事業売却〟があります。中止してしまえば、これまで様々な事柄に投下してきた資金が消えた事になりますが、事業が売却できれば、ある程度の資金回収は可能となります。

ただ、スモールビジネスで黒字が定着していない会社を買うという事は、買う側にすれば、「数字は散々だが、会社の商品、サービス、常連客の客筋には関心がある」等という場合でないと、簡単な売却先は見つかりません。皮肉なことかもしれませんが、あなたがこれまで進めてきた事業の真価が問われる局面である事も確かです。

・少し話が前後しますが、継続を検討している場合は増資などと合わせて、合併するという施策もあります。合併としましたが、実態は吸収、もしくは下請けになるいう選択肢です。
単純な合併では、ストロングポイントとウイークポイントが異なる会社同士などが適当である事はお話ししました。ここでは大手企業や自社より大きな企業に増資を引き受けてもらい、その会社の下請け的な事業の進め方を行うという方法です。

あなたの行っている事業が大手の会社の事業と関連があるが、大会社の中で、新しい部署や子会社を作るには小さすぎるという場合は多くあります。資本関係を持つ事で、あなたの会社の財務強化と大きな会社から定期的に入る仕事の依頼で事業の安定化を図るという方法です。

但し、大きな会社が、付き合いのない会社にいきなり投資するという事はあまりありません。あなたの会社を使ってみて、その堅実な仕事ぶりや商品のクオリティから、繋ぎとめておきたいとなった段階で、増資などに応じるものです。ですから、大手に増資を引き受けてもらうには、ある程度の時間が必要であるとの認識が必要です。
目次へ



リアルジャパンコンサルティングがあなたの起業を応援します! コスト的にも利用しやすい顧問形式です。 http://www.realjapan.com/
お問い合わせ→ info@realjapan.com  までお気軽に。